簿記3級|法人税等の計上と未払法人税等の仕訳
簿記3級の第3問で、決算整理事項のいちばん最後に置かれることが多いのが法人税等です。「仮払法人税等の扱いがあいまい」「税率を掛ける問題で手が止まる」という声をよく聞きます。
法人税等は、順番さえ守れば決まった形で解ける論点です。この記事では、仮払法人税等の意味を確認したうえで、金額が指定されるパターンと、税引前当期純利益から自分で計算するパターンの2つを、数値付きの例題で最後まで解きます。
法人税等で登場する3つの勘定科目
まず、それぞれの科目が何を表しているのかを押さえます。
| 勘定科目 | 分類 | 意味 |
|---|---|---|
| 法人税等 | 費用(損益計算書) | 当期の利益に対して課される法人税・住民税・事業税の合計 |
| 仮払法人税等 | 資産(貸借対照表) | 期中に中間申告で前払いした金額。決算で法人税等に振り替えて消える |
| 未払法人税等 | 負債(貸借対照表) | 確定した税額のうち、まだ納めていない金額。決算後に納付する |
会社は事業年度の途中で税金の一部を先に納めます(中間納付)。そのときに使うのが仮払法人税等です。決算で税額が確定したら、先に払った分を差し引き、残りを未払法人税等として計上する——これが全体像です。
基本の仕訳の形
仕訳は、借方に費用である法人税等を立て、貸方で「すでに払った分」と「これから払う分」に振り分けます。
(借)法人税等 ○○○ /(貸)仮払法人税等 ○○○
/(貸)未払法人税等 ○○○
未払法人税等 = 法人税等 − 仮払法人税等
貸方が2つに分かれる複合仕訳です。仮払法人税等は試算表に載っているため、自分で計算するのは未払法人税等の側です。
例題1:法人税等の金額が指定されるパターン
「決算にあたり、当期の法人税等を180,000円と算定した。なお、仮払法人税等が80,000円ある。」
法人税等は指定された180,000円です。仮払法人税等80,000円を取り崩し、差額が未払法人税等になります。
- 未払法人税等:180,000円 − 80,000円 = 100,000円
(借)法人税等 180,000 /(貸)仮払法人税等 80,000
/(貸)未払法人税等 100,000
借方180,000円、貸方80,000円 + 100,000円 = 180,000円で一致します。
税引前当期純利益から計算するパターン
難易度が上がると、「税引前当期純利益の30%を法人税等として計上する」という形で出題されます。税額が与えられないため、先に利益を求めます。
ここでの税引前当期純利益とは、法人税等を差し引く前の利益です。つまり「収益の合計 − 法人税等以外の費用の合計」で求めます。法人税等を含めてしまうと二重に引くことになるため、この点だけは注意してください。
例題2:税引前当期純利益×税率で求める
決算整理をすべて終えた時点で、次の状態になっていたとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収益の合計(売上・受取手数料など) | 3,000,000円 |
| 費用の合計(法人税等を除く) | 2,400,000円 |
| 仮払法人税等(試算表) | 80,000円 |
| 法人税等の税率 | 30% |
手順は次の3ステップです。
- 税引前当期純利益:3,000,000円 − 2,400,000円 = 600,000円
- 法人税等:600,000円 × 30% = 180,000円
- 未払法人税等:180,000円 − 80,000円 = 100,000円
(借)法人税等 180,000 /(貸)仮払法人税等 80,000
/(貸)未払法人税等 100,000
最終的な当期純利益は、税引後の金額です。
- 当期純利益:600,000円 − 180,000円 = 420,000円
「税引前当期純利益600,000円」と「当期純利益420,000円」は別物です。解答欄がどちらを聞いているかを必ず確認してください。
精算表・財務諸表での書き方
計上した金額をどの欄に書くかも、あわせて確認しておきます。
| 科目 | 精算表 | 財務諸表 |
|---|---|---|
| 法人税等 | 損益計算書欄の借方 | 損益計算書の費用(末尾) |
| 未払法人税等 | 貸借対照表欄の貸方 | 貸借対照表の流動負債 |
| 仮払法人税等 | 修正記入欄の貸方で消える | どちらにも表示されない |
仮払法人税等は決算整理で全額を振り替えるため、精算表の貸借対照表欄には残りません。試算表に金額があるからといって資産に書き写さないよう気をつけましょう。精算表全体の進め方は精算表の解き方の記事、財務諸表への並べ方は財務諸表の作り方の記事で解説しています。
法人税等を最後に解く理由
税率を掛けるタイプの問題では、他の決算整理をすべて終えていないと利益が確定しません。まず他の整理事項を仕上げ、最後に法人税等へ戻る解き方をおすすめします。各論点の考え方は売上原価・減価償却・貸倒引当金の記事にまとめています。
まとめ
- 法人税等は費用、仮払法人税等は資産、未払法人税等は負債。役割を分けて覚える
- 未払法人税等 = 法人税等 − 仮払法人税等。仮払分は決算で全額振り替えて消える
- 税率を掛ける問題では、法人税等を除いた費用で税引前当期純利益を出してから計算する
形が決まっている論点です。数問続けて解いて定着させましょう。
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