簿記3級|当期純利益の求め方と精算表での位置
「精算表の最後で、当期純利益を借方と貸方のどちらに書くのか毎回迷う」「当期純利益の金額が合わず、貸借対照表欄の合計も一致しない」——第3問の仕上げでよく聞く悩みです。
当期純利益は、精算表・財務諸表のどちらの形式でもほぼ必ず問われる重要な金額です。この記事では、計算方法と精算表で書く位置、さらに位置を間違えないための考え方を例題で確認します。
当期純利益は「収益 − 費用」
当期純利益とは、1年間(会計期間)の活動で会社がいくらもうけたかを表す金額です。計算式は次のとおりです。
- 当期純利益 = 収益の合計 − 費用の合計
- 収益が費用より少ない場合は、差額を当期純損失と呼びます
ここでいう収益・費用は、決算整理を済ませた後の金額です。売上原価の算定や減価償却費、経過勘定などを反映する前の試算表の金額で計算すると、答えがずれてしまいます。
例題:当期純利益を計算する
決算整理後の収益・費用が次のとおりであるとき、当期純利益を求めます(法人税等の税率は30%)。
| 区分 | 勘定科目 | 金額 |
|---|---|---|
| 収益 | 売上 | 3,000,000円 |
| 収益 | 受取手数料 | 50,000円 |
| 費用 | 売上原価(仕入) | 2,000,000円 |
| 費用 | 給料 | 500,000円 |
| 費用 | 支払家賃 | 144,000円 |
| 費用 | 減価償却費 | 100,000円 |
| 費用 | 貸倒引当金繰入 | 6,000円 |
- 収益の合計:3,000,000円 + 50,000円 = 3,050,000円
- 法人税等を除く費用の合計:2,000,000円 + 500,000円 + 144,000円 + 100,000円 + 6,000円 = 2,750,000円
- 税引前当期純利益:3,050,000円 − 2,750,000円 = 300,000円
- 法人税等:300,000円 × 30% = 90,000円
- 当期純利益:300,000円 − 90,000円 = 210,000円
法人税等の仕訳は(借)法人税等 90,000円 /(貸)未払法人税等 90,000円 です(仮払法人税等がない場合)。法人税等も費用として損益計算書に入るため、当期純利益は法人税等を差し引いた後の金額になります。詳しくは法人税等の計上をご確認ください。
精算表では「損益計算書欄の借方・貸借対照表欄の貸方」
精算表では、当期純利益を損益計算書欄の借方と貸借対照表欄の貸方の2か所に、同じ金額で書きます。例題を記入すると次のようになります。
| 欄 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 損益計算書(当期純利益の記入前) | 2,840,000円 | 3,050,000円 |
| 損益計算書(当期純利益) | 210,000円 | — |
| 損益計算書(合計) | 3,050,000円 | 3,050,000円 |
| 貸借対照表(当期純利益の記入前) | 4,000,000円 | 3,790,000円 |
| 貸借対照表(当期純利益) | — | 210,000円 |
| 貸借対照表(合計) | 4,000,000円 | 4,000,000円 |
損益計算書欄の借方2,840,000円は、費用2,750,000円に法人税等90,000円を加えた金額です。当期純利益を書き足すと、どちらの欄も借方と貸方が一致します。
なぜこの位置になるのか
- 損益計算書欄:収益(貸方)が費用(借方)より大きいので、少ない借方側に差額を書いて貸借をそろえます。
- 貸借対照表欄:もうけは会社の純資産(繰越利益剰余金)を増やします。純資産は貸方の項目なので、貸方に書きます。
決算では(借)損益 210,000円 /(貸)繰越利益剰余金 210,000円 の振替を行い、当期純利益は繰越利益剰余金に加わります。「利益は純資産を増やす=貸借対照表では貸方」と覚えておくと、位置で迷いにくくなります。
当期純損失のときは位置が逆になる
費用が収益より大きい場合は当期純損失となり、損益計算書欄の貸方・貸借対照表欄の借方に書きます。純資産を減らすため、貸借対照表では借方側で調整するイメージです。
金額が合わないときの検算方法
損益計算書欄で求めた当期純利益と、貸借対照表欄の「借方合計 − 貸方合計」は必ず同じ金額になります。例題では 4,000,000円 − 3,790,000円 = 210,000円 で一致しています。両者がずれた場合は、決算整理仕訳の記入漏れや、損益計算書欄・貸借対照表欄への転記ミスが考えられます。修正記入の行から見直しましょう。解答手順の全体像は精算表の解き方、表示ルールは財務諸表の作り方もあわせてご確認ください。
まとめ
- 当期純利益 = 決算整理後の収益合計 − 費用合計(法人税等を含む)
- 精算表では損益計算書欄の借方・貸借対照表欄の貸方に同じ金額を書く
- 当期純損失のときは、損益計算書欄の貸方・貸借対照表欄の借方に書く
- 損益計算書欄と貸借対照表欄で差額が一致するかを検算に使う
当期純利益は、それまでの決算整理がすべて正しく処理できているかを確かめる「答え合わせ」の役割も持っています。最後の検算まで含めて、繰り返し練習しておきましょう。
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