簿記3級|貯蔵品(収入印紙・切手)の決算整理仕訳
「未使用の収入印紙が○○円ある、と書かれていたが、どの科目から振り替えるのか迷った」「切手は通信費だったか租税公課だったか、本番で思い出せなかった」——第3問の決算整理でよく聞く悩みです。
貯蔵品は、買ったときに費用にしたもののうち、まだ使っていない分を資産に戻す処理です。この一文を押さえておけば、仕訳の向きも相手科目も迷わなくなります。この記事では、基本の仕訳から金額の読み取り方、精算表での書き方までを例題で確認します。
貯蔵品とは
収入印紙や郵便切手は、購入した時点でいったん費用として処理します。ところが決算日に使い残しがあれば、その分はまだ会社の財産として手元に残っており、費用のままでは当期の費用が実際より大きくなってしまいます。
そこで決算整理で、未使用分を費用から差し引き、資産の貯蔵品勘定に振り替えます。
| 購入したもの | 購入時の費用科目 | 未使用分の振替先 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 租税公課(費用) | 貯蔵品(資産) |
| 郵便切手・はがき | 通信費(費用) | 貯蔵品(資産) |
現行の簿記3級で貯蔵品として扱われるのは主にこの2つです。印紙は税金を納めるための証票なので租税公課、切手・はがきは郵便代なので通信費と中身で覚えると迷いにくくなります。
基本の仕訳:未使用分を貯蔵品へ振り替える
例1)当期に収入印紙30,000円を購入し、租税公課として処理していた。決算日において未使用分が8,000円ある。
- 仕訳:(借)貯蔵品 8,000円 /(貸)租税公課 8,000円
費用である租税公課を減らすので貸方に書き、資産である貯蔵品を増やすので借方に書きます。この結果、当期の租税公課は 30,000円 − 8,000円 = 22,000円 となり、実際に使った分だけが費用として残ります。
例2)当期に郵便切手24,000円を購入し、通信費として処理していた。決算日において未使用分が3,500円ある。
- 仕訳:(借)貯蔵品 3,500円 /(貸)通信費 3,500円
当期の通信費は 24,000円 − 3,500円 = 20,500円 になります。考え方は例1と同じで、相手科目が通信費に変わるだけです。
印紙と切手が同時に出題されるケース
本試験では、1つの決算整理事項に印紙と切手の両方が書かれることがあります。その場合は貸方が2科目になる複合仕訳になります。
例3)決算日において、未使用の収入印紙8,000円と未使用の郵便切手3,500円がある。
- 仕訳:(借)貯蔵品 11,500円 /(貸)租税公課 8,000円・通信費 3,500円
借方の貯蔵品は2つの合計 8,000円 + 3,500円 = 11,500円 です。貸方は科目ごとに分けて書きます。借方合計と貸方合計がともに11,500円で一致します。
金額の読み取りで間違えやすい点
問題文が示しているのは未使用分の金額であって、購入額でも使用額でもありません。
- 「未使用分は8,000円である」→ 振り替える金額は8,000円
- 「購入した30,000円のうち22,000円を使用した」→ 未使用は 30,000円 − 22,000円 = 8,000円 なので、振り替える金額は8,000円
- 「購入した30,000円が全額費用処理されている」だけの記述 → 未使用分の指示がなければ振替は行わない
使用額で書かれている場合は、購入額から差し引いて未使用分を自分で計算します。数値をそのまま書き写さず、どちらの金額なのかを必ず確認しましょう。
翌期首の再振替仕訳
決算で貯蔵品に振り替えた金額は、翌期の最初の日に元の費用科目へ戻します。これを再振替仕訳といい、決算整理仕訳の貸借を逆にした形になります。
- 例3の翌期首:(借)租税公課 8,000円・通信費 3,500円 /(貸)貯蔵品 11,500円
翌期に使われる前提で費用に戻しておく、という考え方です。前払費用などの経過勘定と同じ扱いになります。
精算表・財務諸表での書き方
例3(租税公課30,000円・通信費24,000円が試算表に計上されている場合)を精算表に記入すると、次のようになります。
| 勘定科目 | 残高試算表 | 修正記入 | 損益計算書/貸借対照表 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 借方 30,000円 | 貸方 8,000円 | 損益計算書 借方 22,000円 |
| 通信費 | 借方 24,000円 | 貸方 3,500円 | 損益計算書 借方 20,500円 |
| 貯蔵品 | (記入なし) | 借方 11,500円 | 貸借対照表 借方 11,500円 |
貯蔵品は決算整理ではじめて登場する科目なので試算表に行がありません。精算表では下の空欄行に「貯蔵品」と科目名を書き足します。
財務諸表の作成問題では、貯蔵品は貸借対照表の資産に、租税公課・通信費は損益計算書の費用(販売費及び一般管理費)に表示します。表示のルールは財務諸表の作り方、解答手順の全体像は精算表の解き方もあわせてご確認ください。
まとめ
- 貯蔵品は、費用処理した収入印紙・郵便切手のうち未使用分を資産に戻す決算整理の処理
- 仕訳は「(借)貯蔵品 /(貸)租税公課・通信費」。印紙は租税公課、切手・はがきは通信費から振り替える
- 振り替えるのは未使用分の金額。使用額で書かれていたら購入額から差し引いて求める
- 精算表では空欄行に貯蔵品を追加し、翌期首には再振替仕訳で費用に戻す
貯蔵品は仕訳が1行で済む論点ですが、相手科目の取り違えと金額の読み違いで点を落としやすい部分でもあります。数値を変えて何度か練習しておきましょう。
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